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2025.11.29

保健師学校の入試で出た小論文のお題(15)『ワークライフバランスについて(800字・時間50分)』

保健師学校の入試の小論文『ワークライフバランスについて』の画像 京都の看護予備校アルファゼミナール

保健師学校の入試で出た小論文のお題(15)

⁻『ワークライフバランスについて(800字)』

 保健師学校の入試小論文では、「ワークライフバランス」はここ数年、とても出題されやすいテーマのひとつです。日本では今もなお長時間労働が根強く残り、過労死やメンタルヘルス不調、少子化、共働き家庭の増加といった問題が重なっています。こうした状況の中で、「働き方」と「暮らし方」の両方を整えるワークライフバランスは、国や社会全体の大きな課題になっています。
保健師は、企業の産業保健、自治体での住民支援、学校現場での健康教育など、さまざまな場面で人々の「働き方」と「生活」に関わる専門職です。働きすぎによる生活習慣病やメンタルヘルスの悪化、妊娠・出産と仕事の両立の難しさ、介護と仕事の両立など、ワークライフバランスが崩れたときに生じる問題は、保健師の支援領域そのものだといえます。
さらに近年は、妊娠前からの健康づくりを意味する「プレコンセプションケア」や、少子化対策、過労死防止対策とも深く結びついて語られるようになってきました。長時間労働や不規則勤務、慢性的な睡眠不足は、将来の妊娠・出産や子どもの健康にも影響するとされており、「働き方を整えること」は個人の人生設計にも関わる大切なテーマです。
このように、「ワークライフバランスについて」というお題は、単に働き方を問うだけでなく、健康、家族、社会情勢、ジェンダー、プレコンセプションケアなど、多くのキーワードとつながっています。小論文では、「言葉の意味を説明する」だけにとどまらず、現状の課題、その背景、医療職や保健師としての視点、自分ならどう関わりたいかまでを見通して書けると、読み応えのある答案になります。この記事では、ワークライフバランスの基礎的な整理から、保健師らしい切り口、答案の組み立て方まで、やわらかく解説していきます。

●ワークライフバランスとは

 ワークライフバランスとは「仕事(ワーク)」と「仕事以外の生活(ライフ)」が、偏りすぎることなく、どちらも大切にされている状態を指します。「残業が少ないこと」だけではなく、仕事にやりがいを感じつつ、家族との時間や自分自身の休息・趣味・学びの時間も確保できている、いわば「自分らしく生きられている状態」と考えるとイメージしやすくなります。
ここでいう生活(ライフ)には、家事・育児・介護だけでなく、友人との交流、地域活動、ボランティア、趣味やスポーツ、将来に向けた勉強なども含まれます。仕事に全てのエネルギーを使い果たしてしまうのではなく、人生のさまざまな側面にエネルギーを配分できているかどうかがポイントです。
またワークライフバランスは、「仕事量を減らすための考え方」ではなく、「長く健康に働き続けるための土台」としてとらえると、小論文で前向きな論調を書きやすくなります。働きやすい職場は、人材が定着しやすく、結果的に生産性やサービスの質の向上にもつながるため、企業や社会にとっても大きなメリットがあります。

●ワークライフバランスの現状

 日本では「働き方改革」が進められ、労働時間の上限規制や有給休暇取得の促進など、制度面の整備は少しずつ進んできました。しかし現場レベルでは、人手不足や業務量の多さから、「残業や休日出勤が当たり前」「仕事を持ち帰らざるを得ない」といった状況がいまだに多く見られます。
医療・福祉分野では、慢性的な人手不足や夜勤・シフト勤務が重なり、特にワークライフバランスの確保が難しい職種といわれています。患者さんや利用者さんを前にすると「自分の休みよりも相手を優先してしまう」ことも多く、知らないうちに疲労やストレスをため込んでしまうケースも少なくありません。
また、少子高齢化や共働き家庭の増加により、「子育てと仕事」「介護と仕事」を同時に担う人も増えています。テレワークやフレックスタイムなど柔軟な働き方が広がる一方で、「オンラインでいつでも仕事ができてしまう」ことが、かえって仕事と生活の境界をあいまいにしてしまうという新たな課題も出てきました。
ワークライフバランスが崩れると、心身の不調、過労死、うつ病、自殺、家族関係の不和、離職、少子化の進行など、さまざまな問題に連鎖していきます。保健師は、こうした問題の「手前」で気づき、支え、環境を整えていく役割を担う存在だと言えるでしょう。

●なぜワークライフバランスが注目されるのか

 ワークライフバランスが近年とくに注目されている背景には、いくつかの大きな流れがあります。小論文では、この「なぜ今なのか」という視点を押さえておくと、説得力がぐっと増します。

第一に、健康への影響です。長時間労働や過度なストレスは、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、心疾患や脳血管疾患、うつ病などのリスクを高め、過労死や自死にもつながることが問題視されてきました。心身の健康を守るためには、個人のセルフケアだけでは限界があり、働き方そのものを見直す必要があります。

第二に、家族・少子化との関係です。長時間労働や不規則勤務が当たり前の職場では、妊娠・出産や子育てとの両立が難しく、「子どもを持つこと」や「第二子・第三子を持つこと」を諦める人も出てきます。保育園の送り迎えや病児保育への対応、行事への参加など、子育てには時間とエネルギーが必要です。ワークライフバランスの改善は、少子化対策や子どもの健やかな成長にも直結するテーマです。

第三に、プレコンセプションケアとの関連です。プレコンセプションケアは、妊娠前から心身の健康状態や生活習慣、働き方、ストレスなどを整え、将来の妊娠・出産やこどもの健康リスクを減らしていこうとする考え方です。慢性的な睡眠不足や過労、強いストレスは、妊娠しやすさ(妊孕性)や妊娠経過にも影響し得るとされており、働き方を整えることは将来のライフイベントにも関わってきます。

第四に、多様な生き方への尊重です。価値観や家族のあり方が多様化する中で、「仕事中心の生き方」だけでなく、「地域活動に参加したい」「専門職として学び直したい」「趣味やボランティアも大切にしたい」など、さまざまな希望を持つ人が増えています。ワークライフバランスは、その人らしい生き方を支え、一人ひとりの人生の質(QOL)を高めるための鍵となる考え方です。

こうした理由から、「働き方」と「健康」「家族」「将来のライフプラン」をつなげて考えるワークライフバランスは、保健師にとっても避けて通れない重要テーマになっています。

●出題者の意図

 保健師学校の入試で「ワークライフバランスについて」というお題が出されたとき、出題者はどんな力を見たいのでしょうか。いくつかのポイントに分けて考えてみましょう。

第一に、現代社会の課題を、自分なりの言葉で整理できているかです。長時間労働、過労死、メンタルヘルス、少子化、共働き家庭、介護と仕事の両立など、ニュースや授業で見聞きした事柄を、ただ並べるのではなく「なぜ問題なのか」「どのようにつながっているのか」と筋道立てて書けるかが問われます。

第二に、保健師としての視点を持てるかです。保健師は、個人の健康相談だけでなく、職場や地域全体の環境づくりに関わる専門職です。「働く人の健康を守る」「妊娠・出産と仕事の両立を支える」「メンタルヘルスや過労死を防ぐ」など、保健師の具体的な役割と結びつけて書けるかどうかが重要なポイントになります。プレコンセプションケアとの関連に触れられると、より保健師らしい視点が伝わります。

第三に、自分自身の働き方をどう考えているかという問いです。忙しい医療職として働くなかで、自分の健康や生活をどのように守っていくかは、燃え尽き(バーンアウト)を防ぐうえでとても大切です。小論文の中に「将来自分もワークライフバランスを大切にしながら、長く現場で働き続けたい」といった一文を添えることで、出題者に安心感を与えることができます。

つまりこのお題は、単にワークライフバランスの定義を説明させるだけでなく、「社会を見る目」「保健師としての視点」「自分自身のライフデザイン」を総合的に確かめる、奥行きのあるテーマだと言えるでしょう。

●どう書くか

 では、実際に800字の小論文で「ワークライフバランスについて」を書くとき、どのような構成にすると書きやすいでしょうか。ここでは一つの例を紹介します。

①導入:定義と自分の考えを簡潔に
最初の段落では、「ワークライフバランスとは何か」を一〜二文で説明し、「私は○○だと考える」と自分の立場を示します。
例としては、
「ワークライフバランスとは、仕事と家庭生活や自分の時間の調和を図り、どちらも大切にする考え方である。私は、健康で自分らしく生きるために欠かせない視点だと考える。」
といった形が考えやすいでしょう。

②現状と問題点を書く
次の段落では、日本の現状や身近な医療・福祉職の状況を簡潔に示します。
・長時間労働や人手不足が続いていること
・医療職や介護職は夜勤や不規則勤務で負担が大きいこと
・その結果、心身の不調や過労死、離職、少子化などにつながるおそれがあること
などを、自分の実習経験やニュースで見た事例を交えながらまとめます。体験を書く場合は、「大変だと感じた」で終わらず、「だからこそ支援や制度が必要だ」と一歩踏み込むことが大切です。

③なぜ注目されるのか+プレコンセプションケア・社会情勢との関連
そのうえで、「なぜ今ワークライフバランスが重視されているのか」を、健康・家族・少子化・プレコンセプションケアなどと結びつけて述べます。例えば、
・過労やストレスが生活習慣病やメンタルヘルスに影響すること
・長時間労働が妊娠・出産のタイミングを遅らせ、少子化を加速させるおそれがあること
・プレコンセプションケアの視点から見ても、妊娠前から働き方や生活習慣を整えることが大切であること
などをシンプルにまとめると、保健師らしい広い視野が伝わります。

④保健師としての役割と、自分の決意で結ぶ
最後の段落では、「保健師としてどのように関わりたいか」「自分はどのような働き方を大切にしたいか」を書きます。
・企業での健康教育やストレスチェック後のフォロー
・自治体での相談窓口、母子保健での面談を通した両立支援
・学校での保健指導やライフデザイン教育
など、具体的な場面を一つ選び、「ワークライフバランスの大切さを伝えたい」「相談しやすい雰囲気をつくりたい」といった自分の思いを述べると、温かみのある結びになります。

専門用語を使うときは、「プレコンセプションケア(妊娠前からの健康管理)」のように、一言で良いので説明を添えると読み手に親切です。「個人の努力だけでなく、社会や職場の仕組みづくりも重要だ」という一文を入れておくと、バランスのとれた文章になります。

●まとめ

 「ワークライフバランスについて」というお題は、一見すると身近で書きやすそうに見えますが、実は現代日本が抱える多くの課題がぎゅっと詰まったテーマです。長時間労働や過労死、メンタルヘルス、少子化、共働き家庭、介護と仕事の両立、プレコンセプションケア、男女共同参画など、さまざまなキーワードとつながっています。
小論文では、まずワークライフバランスの意味をシンプルに説明し、現状と問題点をコンパクトに整理します。そのうえで、なぜ今このテーマが注目されているのかを、健康・家族・社会情勢・プレコンセプションケアと結びつけて考え、最後に保健師としてどのように関わりたいか、自分はどのような働き方を大切にしたいかを、自分の言葉でまとめてみましょう。
ワークライフバランスは、特別な誰かのための言葉ではなく、私たち一人ひとりの「今」と「未来」を守るための大切な視点です。受験勉強で忙しい時期だからこそ、自分自身の休息や生活リズムを振り返りながら、このテーマについて考えてみてください。その経験は、きっと将来、保健師として働くときに、目の前の人の生活に寄り添う力として生きてくるはずです。

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