2025.07.05
⁻『10年後の日本において保健師に求められることは何ですか(二人で・時間10分)』
「10年後の日本において保健師に求められることは何ですか」という課題は、保健師の役割を深く理解した上で、未来を見据えた視点で議論することが求められるテーマです。10年後といえば、2035年前後の日本。現在進行中の少子高齢化、過疎化、外国人労働者の増加、AIやロボティクスによる医療の進化、さらに地球温暖化による災害の増加など、社会は大きな転換期を迎えていると予測されます。
こうした中で、保健師が地域社会の健康を支えるためにどのような力を発揮するべきかを考えることは極めて重要です。この討論は「現在の保健師の仕事」と「未来の社会問題」をつなぎ、自分なりの考えを組み立てていく練習として最適です。
●10年後の社会問題と保健師の必要性 |
10年後の日本は、さらに顕著な社会問題を抱えると予想されます。高齢化はピークを迎え、地域によっては人口の40%以上が高齢者になるともいわれています。認知症高齢者の増加により、地域全体で支える体制が求められます。また、少子化の影響で子育て世代の孤立が深刻化し、若年妊婦やシングルマザー支援の必要性も高まります。
さらに、地球温暖化に伴う豪雨や台風などの自然災害が頻発し、災害時に妊産婦や高齢者、障がいのある人々をどう支援するかが課題となるでしょう。このような状況で、地域住民の健康や生活を守る保健師の役割はますます重要になります。
保健師は、健康相談や訪問活動を通じて、孤立しがちな住民と行政・医療機関をつなぐ橋渡し役です。また、ヤングケアラー(家族の世話をする子どもたち)やダブルケア(子育てと介護の同時負担)など、新たに注目される問題にも対応できる柔軟さが求められます。
●10年後の医療と保健師の新たな役割 |
10年後の医療現場は、AIやロボット技術がさらに進化し、効率化が進んでいると予想されます。AIによる健康管理アプリやオンライン診療の普及により、住民の健康意識は高まるかもしれませんが、その一方で「デジタル格差」によって情報にアクセスできない高齢者や低所得者層が取り残されるリスクもあります。
こうした状況下で保健師には、「テクノロジーを活用する力」と「人と人との対話で支える力」の両方が必要です。AIでは気づけない住民の小さな変化に目を向け、孤立を防ぐ見守り活動を続けることが求められます。外国人住民の増加に対応し、異文化理解や多言語対応も必須になるでしょう。
また、高齢出産の増加により、母子支援の質の向上や産後ケアの充実が重要課題です。保健師は個人に寄り添うケアだけでなく、地域全体の健康を底上げするための政策提案にも積極的に関わる存在になるべきです。
●試験官の意図 |
この課題で試験官が見ているのは、以下の3点です。
1つ目は「社会問題をどれだけ具体的に理解しているか」。ニュースや統計データに基づいた知識を持っているかがポイントです。
2つ目は「保健師としての視点を持てているか」。看護師と保健師の役割の違いを意識した発言ができるかが問われます。
3つ目は「討論の進め方」。2人で意見交換する中で、相手の意見に耳を傾けながら自分の考えを簡潔に述べる姿勢が評価されます。
●予想される意見 |
討論では以下のような意見が予想されます:
・高齢化と孤立の防止 → 地域全体での見守りネットワークの構築
・外国人労働者の健康支援 → 多文化共生のための健康教育
・ヤングケアラー・ダブルケアの支援 → 学校・地域・行政の連携強化
・気候変動への対応 → 災害時の母子支援・高齢者支援体制の整備
これらの意見に「保健師だからこそできる役割」を結びつけて語ることが重要です。
●どうまとめるか |
討論の最後は、「個人と社会が協力して健康を守る未来像」を描きつつ、「保健師として何ができるか」を意識したまとめ方が効果的です。
例:「10年後の日本はさまざまな課題を抱えますが、保健師が地域住民と行政・医療をつなぐハブとなることで、誰もが安心して暮らせる社会が実現できると感じました。」
短く、看護や保健師の視点で締めくくると、試験官に好印象を与えられます。
●まとめ |
10年後の日本における保健師は、従来の「予防・相談」だけでなく、より多様なニーズに応える役割を担うでしょう。討論では社会の変化をしっかり踏まえつつ、未来に向けた前向きなビジョンを語ることが大切です。
この課題は、あなたが「どのような保健師になりたいか」を考える良い機会にもなります。ぜひ未来志向の答えを準備しておきましょう。
🎨 挿絵について・・・
ソーラーパネルのある住宅、未来的フォルムの自動車、保健師さんが持つ通信機器など、少し未来的なものにしてみました。(名札は相変わらず首からかける形でしょうか・・・🤔)
10年後はどうなっているでしょう。みなさんが安心して健康的に暮らせる世の中だといいな
看護予備校、准看護予備校を選ぶなら京都・大阪・滋賀・兵庫から通いやすいアルファゼミナール