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2025.07.01

看護大学・看護学校の入試で出た小論文・作文のお題 (39)『寄り添うとはどういうことか(800字・時間60分)』

看護学校の入試の小論文『寄り添うとはどういうことか』の画像 京都の看護予備校アルファゼミナール

看護大学・看護学校の入試で出た小論文・作文のお題 (39)

⁻『寄り添うとはどういうことか(800字・時間60分)』

「寄り添う」という言葉には、相手のそばに静かに存在し、気持ちや状況に理解を示してともに在るという温かみがあります。看護や医療の現場でよく使われるこの言葉ですが、決して医療職に限ったことではありません。身近な人の悩みに耳を傾けたり、悲しみに寄り添う態度をとったりすることは、誰しもが日常で経験することです。しかし、それは簡単なようで、実は相手の気持ちを無理なく受け止める力や、自己を抑えた態度、相手中心で考える視点など、多くの要素が求められる行動でもあります。

今回は「寄り添うとは何か」を考えることで、看護職に求められる姿勢の一端に触れていきたいと思います。

●寄り添うとは

「寄り添う」とは、単に身体の距離を近づけることではありません。相手の気持ちや状況に関心をもち、同じ目線で物事を考えようとする心のあり方を意味します。それは同情や助言とも異なり、相手の感情や痛みを否定せず、そっと見守るような姿勢です。
たとえば、落ち込んでいる友人に「そんなことで悩まないで」と言うのではなく、「つらかったね」「よく話してくれたね」と静かに声をかける行為。これがまさに寄り添いの一例です。

●日常での寄り添い

私たちは日常生活でも、無意識のうちに誰かに寄り添っていることがあります。たとえば、家族が疲れているときに無理に話しかけず、そっとお茶を出すこと。友人の悩みに耳を傾け、「話してくれてありがとう」と言えること。これらはすべて、相手の気持ちを尊重する態度であり、寄り添う行為に他なりません。

寄り添いには「沈黙を受け入れる勇気」や「相手の主導に任せる余白」が必要です。自分の価値観や正しさを押しつけないことこそ、真の寄り添いといえるのかもしれません。

●医療における寄り添い

医療現場において「寄り添う力」は非常に重要です。患者は身体の不調だけでなく、将来への不安、治療のつらさ、社会との隔たりなど、さまざまなストレスを抱えています。そのような状況において、医療従事者が共感の気持ちを持ち、患者の立場に寄り添って接することは、患者の精神的な支えになります。看護師がそばで「大丈夫ですよ」と声をかけるだけで、不安が和らぐこともあります。

寄り添うとは、決して特別なことではなく、相手の存在を丸ごと受け止める姿勢であり、看護の本質とも言える行為です。

●出題者の意図

このようなテーマを出題する背景には、「共感力」や「対人関係能力」を見たいという意図があります。看護職は技術職であると同時に対人援助職でもあり、人の心に敏感に反応し、思いやる姿勢が重要視されます。そのため、受験生がどのような経験を通じて「寄り添うこと」を学んできたのか、また、日常での人との関わりの中でどのようなことを大切にしているのかを知ることで、その人の看護適性を見極めようとしているのです。

●どう書くか

このテーマで小論文を書く際は、自分の経験を交えて具体的に書くと説得力が増します。
たとえば「クラスで悩んでいる友人に寄り添った経験」や「ボランティア活動で見た支援者の姿」など、実際の出来事から寄り添うことの大切さを語ると良いでしょう。また、単なる感情論にならないように、「なぜその行動が寄り添うことなのか」「相手はどう感じたか」など、相互の視点を意識して記述することが大切です。

●まとめ

「寄り添う」とは、相手の気持ちを大切にし、同じ目線に立ってともにいる姿勢のことです。看護職として必要な力のひとつであり、患者との信頼関係を築くうえでも欠かせません。「ただそこにいる」こと、「静かに耳を傾ける」ことの尊さを知る人は、必ずや良い看護師になる素質を備えているでしょう。
小論文を書くことで、今一度、自分が誰に・どんなふうに寄り添ってきたのかを振り返る良い機会にもなります。

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