お役立ち情報

看護大学・看護学校の入試の面接で聞かれた内容(27)

⁻『いままでアルバイトをしてきて、そこで得たことは何ですか？』

看護学校の入試では、志望理由や小論文だけでなく、面接で「アルバイト経験」を問われることもあります。志願者に「そこで学んだこと」を語らせる背景には、看護職に求められる責任感、協調性、接遇力などが、現場で働きながら得た教訓からよく伝わるためです。

本記事では、アルバイト経験を効果的に面接で活かす方法を、具体例と統計データとともに解説します。経験の有無にかかわらず、準備が評価につながる内容ですので、ぜひ参考にしてください。

アルバイトでは、先輩・後輩との関係、シフト調整、接客対応、チームワークなどを通じて、社会性や責任感が自然と身につきます。例えば、飲食店での接客経験では「多様な人と関わる力」「適切な言葉遣い」「苦情対応」などが身につきました。また、レジ打ちや在庫管理などの作業では「正確さ・時間管理・細部への注意力」が鍛えられ、いずれも看護職に直結するスキルと言えます。先輩から後輩への指導機会があれば、リーダーシップや指導力も経験できるでしょう。

なお、アルバイト経験がない受験生も、決して不利になるわけではありません。その場合には、「なぜアルバイトをしなかったのか」「代わりにどんなことに時間を使ったのか」を丁寧に伝えることが大切です。たとえば、部活動や家族の介護、学業に専念していたなど、自分なりの理由がしっかりと説明できれば、誠実に自分と向き合ってきた人物であるという印象を与えることができます。

また、「これから働く場面で、どのように人間関係を築いていきたいか」「責任を持って役割を果たす姿勢がある」など、将来の姿勢や意欲を具体的に語ることでも、アルバイト経験の有無を補って余りある内容にすることが可能です。

接客で培った 思いやりの言葉選び や 相手の気持ちを察する態度 は、患者対応に直結します。チームでの業務経験は、医師や他職種との連携において不可欠です。勤務時間を守ってシフトに参加する責任感は、患者の命と向き合う姿勢とも重なります。
また、「忙しいときも笑顔を絶やさない」「落ち着いて行動する」など、バイトで得た習慣が実は将来の現場力の素になります。

面接官がこの質問で知りたいのは、単に「どんなアルバイトをしたか」ではありません。彼らが注目しているのは、その経験から何を学び、それをどのように将来の看護職に活かそうとしているのかという点です。たとえば、「接客で培った対人スキルが患者さんとの関係づくりに活かせる」といった具体的なつながりが語れるかどうかが評価の分かれ目になります。

また、統計的に見ると、高校生のアルバイト経験率は約17%、大学生では7割以上が何らかのアルバイト経験を持っています。さらに、20代でフリーターとして長期間働いてきた人も少なくありません。つまり、面接官にとっては「アルバイトをしてきた」という事実は珍しくないのです。だからこそ、その経験から得た気づきや変化をどう表現するかが重要になります。

実際、あるアンケートではアルバイト経験者の約6割が「働いてよかった」と回答し、その理由として「人との関わりで成長できた」「責任感が身についた」「社会性が高まった」などが挙げられています。このような背景もふまえつつ、自分自身の体験に基づいた説得力あるエピソードを用意しておくと、面接官に強い印象を残すことができるでしょう。

面接での「アルバイトで学んだこと」質問に答える際は、
①どんな場で働いたか（職種・規模・気づき）
②そこで得たスキルや姿勢（責任感・思いやり・連携力）
③それが将来自分が看護師になったときにどう生きるかを
簡潔に述べると効果的です。
例：「飲食店で忙しい場面でも笑顔を絶やさない習慣が身につき、これは患者さんとのコミュニケーションでも活かせる」「後輩指導を任され、成長のプロセスを見る喜びとチーム医療の喜びを感じた」など、自分の言葉で語ることで面接官に印象づけましょう。
アルバイト経験の有無よりも、「そこから看護への意欲と可能性をどう描くか」が合否を分けます。