2025.06.27
⁻『災害時における妊産婦支援のあり方と助産師の役割(800字・時間60分)』
地震や台風などの自然災害時には、妊産婦が抱える不安やリスクが深刻化しやすくなります。東日本大震災や熊本地震で「避難所における妊婦への対応が不十分だった」「授乳・育児スペースが確保されていなかった」といった声が多く聞かれました。災害時には急な陣痛や破水、身体的制約、感情面の揺らぎなどが重なることから、妊産婦支援は極めて重要です。
助産師志望者には、災害時に妊産婦と母子を守るための具体的な備えと、連携体制、現場での寄り添い方などを論理的に整理し、自らの役割を示す力が求められます。
●災害時における妊産婦支援 |
東日本大震災や熊本地震では、避難所に妊産婦用スペースが整備されず、授乳や育児、プライバシーを確保する場が不足したという課題が見られました。妊婦や母親は身体的にも制約が大きく、走れない、重いものを持てないなどの状況下、配慮がないと健康被害やストレスが重なる恐れがあります。
急な陣痛や破水に迅速に対応する体制、おむつ交換や授乳スペースの確保、温度・感染管理など、妊産婦に必要な環境整備は、避難所運営において重要な要素です。
●災害時における助産師の役割 |
助産師は、災害時において妊産婦の身体的・心理的ケアの最前線に立つ専門職です。平時から地域の保健師・医療機関・行政と連携し、妊婦健康診査の際には緊急連絡先や避難ルートの確認、母子手帳・常備薬の携行の重要性を伝える役割があります。妊婦の心理面では「身体が危うい“今”をどう過ごすか」という不安が強まりやすく、感情の起伏が激しくなる傾向があるため、避難所での孤立やストレスに寄り添うことが求められます。
さらに、助産師は避難所運営者やDMAT(災害医療チーム)と連携して、陣痛や破水時の対応準備を支援し、授乳や育児、吐き戻し・生理的ニーズに応じた臨機応変な対応も行います。妊婦が安心して過ごせるスペース管理や、マタニティブラや母乳パッド等の物資調整にも貢献できます。
●出題者の意図 |
災害時における妊産婦支援は命に直結する重要テーマです。出題者は、「助産師として、あなたは災害時に何を準備し、誰とどう連携し、どのように妊産婦に寄り添うのか」という視点を見ています。
単なる知識ではなく、現実的な備えと「助産師としての覚悟」が示されているかが評価のポイントになります。
●どう書くか |
書き方の流れとしては、
①東日本・熊本の事例で支援不足を明示
②妊産婦の身体的・心理的負担の具体性を加えて説明
③助産師の備え(平時からの健康診査時指導や連携体制準備)を述べる
④災害時の具体的役割(環境整備やDMATとの連携)を明示
⑤将来自分が災害対応に関わる姿勢で締める
という構成がおすすめです。箇条書きではなく、受験者自身の言葉で一貫性をもたせると説得力が増します。
●まとめ |
災害時における妊産婦支援は、助産師にしか果たせない役割が多数あります。避難所の環境整備、心理的支援、急変対応、チーム連携など、求められる業務は多岐にわたります。
助産師志望者としては、「災害が起きても命を守る力がある」という意識を文章に込め、具体的な備えと覚悟を示すことで、読み手に信頼感と将来性を与えられる小論文が書けるでしょう。
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