2025.06.23
⁻『会話(800字・時間60分)』
会話とは単なる言葉のやりとりではなく、人と人との心をつなぐ大切なコミュニケーション手段です。特に看護の現場では、患者との会話が診療の一部となり、信頼関係を築く大切なきっかけになります。この「会話」というテーマは、看護大学・看護学校の入試においても頻繁に出題されており、知識や経験を踏まえながら、自分なりの考えを論理的に伝える力が求められます。
この記事では、会話の持つ力、医療職における役割、会話がもたらす気づき、そして小論文にどう活かすかを丁寧に解説します。
●会話の大切さ |
人は誰かと会話をすることで、自分の考えを整理し、不安を和らげ、安心感を得ることができます。何気ない会話の中にこそ、人間関係の本質が隠れているものです。たとえば、友人との雑談の中で気持ちが晴れた経験や、誰かのひと言に勇気づけられた経験は、誰にでもあるでしょう。
会話には、言葉以上の意味が込められています。声のトーン、間の取り方、うなずきや表情の変化といった“非言語的な要素”も、相手に安心感や共感を与える大切な要素です。
●医療と会話 |
医療の現場において、会話は診療行為の一部とも言えます。患者の訴えを正確に把握するためには、観察だけでは足りません。本人の言葉から、体調だけでなく、生活背景や心の状態を読み取る必要があります。特に看護師は、患者と接する時間が長く、会話の中から小さな変化を感じ取る「気づきの力」が求められます。
ある看護学生さんが病院実習で出会った高齢患者さんは、体調のことはなかなか話してくれませんでしたが、趣味の話や家族の話を通じて徐々に打ち解け、最終的に症状に関する重要な訴えも話してくれるようになったそうです。会話は、患者のこころの扉を開く鍵になるのです。
●会話がもたらす気づき |
会話を重ねることで、相手の考え方や価値観に触れ、自分自身の視野が広がることもあります。たとえば、患者との会話の中で「病気と共に生きる」という前向きな姿勢にふれ、自分自身も励まされたという看護師の話を聞いたことがあります。会話は単に情報をやりとりする手段ではなく、「心のキャッチボール」であり、互いの思いを共有し、尊重し合う中で関係性が深まります。そしてその関係性が、患者にとっては治療への安心感となり、看護師にとっては支援のヒントにもなるのです。
●出題者の意図 |
このお題を通じて出題者が見ているのは、「あなたは会話をどう捉えているか」「医療職としてどう活かしたいと思っているか」といった深い視点です。ただ「会話は大事だと思う」という感想にとどまらず、具体的な経験やエピソードを交えながら、「会話があったからこそ分かったこと」「会話がなかったら見過ごしていたこと」など、リアリティのある内容が求められます。また、会話の苦手な人への配慮や、聴く力の重要性にも触れられると、より厚みのある文章になります。
●どう書くか |
小論文では、以下のような構成が書きやすく、説得力のある内容につながります。
①会話の大切さを一般的に述べる(導入)
②自分の体験や印象的なエピソードを紹介する
③医療現場での会話の意義に触れる
④会話を通じて得た気づきや成長を述べる
⑤将来、どのように会話を活かしたいかを展望として述べる
このように、抽象的なテーマを自分自身の経験と結びつけて語ることで、読み手の心に届く文章になります。「話す力」と同じくらい「聴く力」が大切であることにも触れると、医療職としての理解が深い印象を与えられるでしょう。
●まとめ |
「会話」は、看護職において欠かすことのできない基本であり、信頼・共感・気づき・安心感といった多くの要素をつなぐ架け橋です。患者に寄り添うとは、単に側にいることではなく、「声を聴き、心に耳を傾けること」でもあります。
小論文では、あなたがどのような姿勢で会話を大切にしてきたか、これからどんな看護師をめざしたいかを、率直な言葉で表現してみましょう。「会話」というシンプルなテーマの中に、あなたの看護への思いを込めるチャンスがあります。
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