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2025.06.20

助産学校の入試で出た小論文のお題(14)『リプロダクティブヘルス/ライツについて(800字)』

助産師学校の入試の小論文『リプロダクティブヘルス/ライツについて』の画像 京都の看護予備校アルファゼミナール

助産学校の入試で出た小論文のお題(14)

⁻『リプロダクティブヘルス/ライツについて(800字)』

現代の助産師は、単に母子の健康を守るだけではありません。女性の「性と生殖に関する健康と権利」――リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(RHR)、またはセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)と呼ばれる考え方を理解し、支援する役割が大きく求められています。

とくに最近では、このテーマが助産学校の入試で頻繁に問われており、知識だけでなく、自分の考えを持っているかどうかが試されます。この記事では、出題意図や書き方のヒントとともに、リプロダクティブヘルス/ライツの背景と現状について丁寧に解説していきます。

●リプロダクティブヘルス/ライツとは

リプロダクティブヘルス/ライツ(RHR)とは、「性と生殖に関する健康と権利」を意味し、1994年のカイロ国際人口開発会議で国際的に提唱された重要な概念です。ただ病気がない状態ではなく、心身ともに健やかで、尊厳をもって意思決定できることが健康の基盤とされています。

この考えには、「いつ・何人子どもを産むかを自分で決める」「安全な妊娠・出産をするための支援を受けられる」「避妊や不妊治療への適切なアクセス」「性教育や月経・更年期への理解」など、個人の生涯を通じたあらゆる場面が含まれます。特に女性は、社会的・文化的背景によりその権利が制限されがちであるため、正しい情報と選択肢が保障されることが重要です。

●日本の取り組み

日本においてもリプロダクティブヘルス/ライツの考え方は徐々に広がっています。女性のライフステージに応じた支援体制の整備、性教育の推進、生理の貧困への対策、不妊治療の保険適用などがその具体例です。

たとえば、2022年から不妊治療に保険が適用されるようになり、経済的な理由で治療を断念していた多くの夫婦に希望が広がりました。また、自治体による生理用品の無料配布や、保健所での性と生殖に関する相談窓口の設置も進んでいます。緊急避妊薬を薬局で入手できるようにする運動なども、女性の自己決定を支える動きといえるでしょう。とはいえ、まだ制度や社会認識が十分に追いついていない現状もあります。

●世界に広がるリプロダクティブ・ヘルス/ライツの概念

世界に目を向けると、リプロダクティブヘルス/ライツはすでに国際的なスタンダードとなっています。国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)でも、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」においてこの理念が明記され、各国が取り組みを強化しています。

例えば、スウェーデンやオランダでは、包括的な性教育が初等教育から行われており、若者の妊娠・性感染症の予防に大きな効果を上げています。フランスでは中絶の権利が憲法に明記される動きもあり、女性の選択の自由が法的に強く保障されています。一方、日本では性教育の内容や対象年齢に地域差があり、偏見や誤解が残る課題もあります。国際的な動向に学びつつ、日本独自の課題にも目を向ける姿勢が求められます。

●最近なぜリプロダクティブヘルス/ライツが話題になるのか

この数年、メディアやSNSなどで「リプロダクティブヘルス/ライツ」という言葉を見聞きする機会が増えました。その背景には、若者の性暴力・性加害事件、女性特有の健康課題(生理やPMS、不妊、更年期など)への関心の高まりがあります。

さらに、コロナ禍によって医療機関へのアクセスが制限され、妊娠中の不安や孤立、出産の立ち会い制限などが社会問題となりました。こうした経験を経て、「性と生殖に関する権利は誰にとっても他人事ではない」と感じる人が増えたのです。ジェンダー平等、LGBTQ+の権利、包括的性教育など、多様な視点からこのテーマを考えることが、今の時代に強く求められています。

●出題者の意図・どう書くか

助産学校の入試でこのテーマが問われる理由は、単なる知識の確認ではありません。リプロダクティブヘルス/ライツというテーマを通して、「その人が社会の課題にどう関心を持ち、自分の立場でどのように貢献したいと考えているか」が問われているのです。

たとえば「女性が安心して産むことができる社会をつくりたい」「情報や選択肢にアクセスできない人を支えたい」といった思いを、自身の体験や将来像に重ねて書くことができれば、説得力のある文章になります。書き方に迷う場合は、「生理の貧困」や「不妊治療」といった具体的なトピックに絞り、その課題や支援の重要性を説明するとよいでしょう。

●まとめ

リプロダクティブヘルス/ライツは、現代の助産師にとって欠かせない視点です。それは「すべての人が自分の身体と生き方を自由に選び、尊重されながら健康に暮らすこと」を支える姿勢そのものだからです。

入試では、まずこの概念の定義をきちんと示し、次に日本や世界の現状や事例を挙げ、最後に自分が将来どのようにその考え方を実践していきたいかを述べると、非常に良い構成になります。専門用語に頼りすぎず、分かりやすい言葉で、「誰かの力になりたい」「自分が橋渡しの役割を果たしたい」という思いを伝えてみてください。

「大切にしよう 自分の身体と権利」――この言葉が、多くの人の心に届くような医療者をめざしていきましょう。

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