2025.06.15
⁻『「暮らし」と「生活」との違いについて(800字・時間60分)』
入試の小論文では、「一見似たような言葉の違い」について問われることがあります。今回の「暮らし」と「生活」もその一例です。
明確な定義の違いを理解するのは難しく感じるかもしれませんが、自分なりの視点で両者を捉え、医療職としての視点と結びつけて書くことが大切です。文化と文明、道徳と法律など、類似のテーマもありますので、柔軟な考察力を磨く良い機会となるでしょう。
●暮らしとは・生活とは |
「生活」とは、衣食住を中心とした人間の基本的な営みを指します。
一方で「暮らし」は、そこに感情や価値観、文化的側面が加わった、より主観的で温かみのある概念といえるでしょう。
たとえば「生活費を節約する」「生活リズムを整える」などの表現は実用的ですが、「豊かな暮らしを送りたい」「自然に囲まれた暮らしに憧れる」という表現には、人生観や感情が含まれています。
●暮らしと生活の違い |
両者の違いを一言でまとめるなら、「生活」は客観的な日常の営みであり、「暮らし」は主観的に感じられる日々のあり方です。
生活は、誰にとってもある程度共通するものですが、暮らしは人によって異なり、「どんな空間で、誰と、どう過ごすか」といった個人の価値観が反映されます。
この違いを理解することで、看護や介護の現場でも、その人の「暮らし」に寄り添った支援ができるようになります。
●出題者の意図 |
こうしたお題を出題する背景には、単なる知識ではなく、日々の営みにどれだけ関心を持ち、人の思いや価値観に寄り添える視点があるかを見たいという意図があります。医療者は、患者さんの「生活」を支える立場でありながら、同時に「暮らし」にも心を寄せ、尊重することが求められます。その力を測るための問いといえるでしょう。
●医療とどう関連づけて答えるか |
たとえば、退院支援の場面では「生活」の再構築が目標となりますが、本人が望む「暮らし」にどこまで近づけるかという視点も同様に大切です。
療養中の方が「また家庭菜園を再開したい」と話したとき、それは単なる作業ではなく、その人らしい暮らしへの強い願いです。
このように、看護師や医療者は、患者さん一人ひとりの「暮らし」に目を向け、生活支援以上の支えを提供できるかどうかが問われるのです。
●書きづらい場合は |
書きづらさを感じたら、まずは「自分にとっての生活とは?」「自分が理想とする暮らしとは?」と自問してみてください。そこから家族との時間や趣味、心の安らぎなど、思い浮かぶキーワードをもとに書き進めていくと、自然と文章に温かみが生まれます。
また、「どちらが医療と深く関係していると思うか」など、問いを自分で立てて書いてみるのもよい方法です。
●まとめ |
「暮らし」と「生活」は似て非なる概念であり、どちらも医療と深く結びついています。看護職に求められるのは、患者さんの「生活」を整える支援だけでなく、「暮らし」を尊重する姿勢です。
こうしたテーマは、受験対策だけでなく、看護観や人間観を深めるきっかけにもなります。自分自身が大切にしたい「暮らし」とは何かを考えながら、小論文に臨んでみてください。
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