2025.06.10
⁻『北風と太陽の話を読んで要約し、あなたの意見も書きなさい。(800字・60分)』
看護学校の入試では、昔話や寓話などを題材にして読解力や思考力を問う作文問題が出題されることがあります。「北風と太陽の話を読んで要約し、あなたの意見も書きなさい。」というお題は、その代表的なものです。
今回はこの問題をどのように考え、どう医療現場に結びつけていくかを解説します。
●北風と太陽の話とは |
「北風と太陽」はイソップ童話のひとつで、旅人の上着を脱がせる勝負を北風と太陽がするというお話です。北風は力強く冷たい風を吹きつけますが、旅人はその寒さから上着をさらにしっかり着込んでしまいます。一方で太陽はぽかぽかと暖かく旅人を照らし、やがて旅人は自然と自ら上着を脱ぎます。
この物語は、「力で無理に押すよりも、やさしく穏やかに働きかけるほうが人の心を動かす」という教訓を伝えています。人に何かをしてほしいとき、強制ではなく共感や信頼で導く方法の重要性が描かれています。
●長文問題のねらいとは |
このような物語を読ませて「要約と意見を書かせる」問題は、受験者の読解力、要点をまとめる力、自分の考えを論理的に表現する力を総合的に見るために出されます。
看護や医療の現場では、患者の話を正確に受け取り、情報を整理し、共有する力がとても大切です。そのため、単に話を読むだけでなく、「大事な部分を的確につかむ」「主旨を短く伝える」「自分の意見を言葉で表現する」といった複合的な力が求められるのです。
●試験官は何を見ているか |
試験官は、「物語の本質を理解しているか」「話の要点を簡潔にまとめられているか」「意見が具体的かつ論理的に述べられているか」を重点的に見ています。また、誤字脱字が少ないか、段落構成は適切かといった基本的な文章力も評価対象です。
内容面では、「北風=力で押す方法」「太陽=寄り添う関わり方」という対比から、看護においてどのような姿勢が求められるかを自分の言葉で書けていると、説得力が増します。表面的なあらすじではなく、自分なりの理解が含まれていることが大切です。
●医療とどう関連づけて書くか |
看護の現場では、強引に行動を促すよりも、患者に寄り添い、安心してもらうことで自然と行動を引き出すことが求められます。
たとえば、注射を嫌がる子どもに「早く終わるから我慢しなさい」と命令口調で言うのは北風のような接し方です。
反対に、子どもの目線に合わせて話し、不安な気持ちに共感しながら説明することは太陽のような関わり方です。
このように、患者に安心感を与えるやわらかい対応が、医療現場ではとても重要なのです。実習や現場での経験があれば、そうしたエピソードを入れると説得力が増します。
●まとめ |
「北風と太陽」のような寓話を読み、要約し、自分の意見を述べる問題は、看護職として求められる力と直結しています。読解力、要約力、思考力、表現力は、患者さんと関わるうえで必要なコミュニケーションの土台です。
入試対策としては、日頃から短編の物語やニュース記事を読んで、要点をまとめたり、自分の意見を短く書いたりする練習をするのがおすすめです。また、時間制限内で書く力も必要なので、60分で800字を書く練習も取り入れてみましょう。
「読む・まとめる・伝える」力は、看護の現場でもきっとあなたを支えてくれます。
看護予備校、准看護予備校を選ぶなら京都・大阪・滋賀・兵庫から通いやすいアルファゼミナール