2025.06.04
⁻『日常生活の中での「待つ」ことの意味について、具体例をとおして600字程度で論じなさい。』
「待つ」ことの意味を、いま改めて考える
入試で出された「待つことの意味」についての小論文は、看護医療職に求められる資質とも密接に関係するテーマです。現代社会では「いかに速く・効率的に」が重視されがちですが、看護の現場では「待つ力」「待たせる配慮」どちらも求められます。
この記事では、600字小論文の書き方とともに、テーマの背景や考えるヒントを紹介していきます。
現代人と『待つこと』 |
かつては「待つこと」が日常に多く含まれていました。
手紙の返事を何日も待つ、バスを寒空の下でじっと待つ、炊飯器のタイマーをかけて夕飯を楽しみに待つ——こうした時間の流れが当たり前でした。
しかし現代は、電子レンジで数十秒、ネット通販は翌日配送、メッセージは即時返信。高速化が当たり前になった今、私たちは「待てない人」になってきてはいないでしょうか。
●「待つ」場面のいろいろ |
私たちの生活には、さまざまな「待つ」場面があります。
・病院の待合室で呼ばれるのを待つ
・電車が遅れたときに静かに待つ
・友人との待ち合わせ
・大学の合格発表を待つ時間
・赤ちゃんが産まれてくるのを待つ
・誰かが心を開いてくれるのを、急かさず待つ
「待つこと」には不安も期待も混ざります。待つことは時に苦しいですが、「待つ時間」があるからこそ、その後の喜びや納得も生まれるのです。
●「待たない」と「待てない」 |
最近は「待たせないサービス」が話題になります。
たとえば、行列のない万博「待たない万博」や、レジに並ばなくていいキャッシュレス店舗。これらは「待たせない」技術の進化です。 しかし、それと「待てない自分」は別の問題です。
郵便よりもメール、テレビよりもYouTube、通信や交通の高速化に慣れ、「すぐ手に入らないとイライラする」心が育ってしまってはいないでしょうか?
●何を書くか |
このテーマでは、単に「待つことは大事だ」と結論づけるだけでなく、「なぜ現代人は待てなくなったのか」「待つことで何を得られるのか」を具体例で語ることが大切です。
例として、
・子どもの成長をじっくり待つ親の姿
・患者のペースに合わせて待つ看護師
・スローライフを選んだ人の実践
などが考えられます。
「待つことは、相手のペースを尊重すること」だと気づけると、深い論考になります。
●まとめ |
この小論文テーマは、「忙しさ」「スピード」が求められる現代に一石を投じる内容です。
看護や保健の現場では「結果を急がない」「信頼関係ができるまで待つ」姿勢が求められます。
自分の日常を振り返り、「どんなときに待つことを大事にしているか」を具体例を通して表現してみましょう。
「待つ」という静かな力が、看護職の本質につながっていることを伝える文章が書ければ、試験官の心にも残るはずです。
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