2025.06.02
⁻『生活の質について(800字・50分)』
保健師学校の小論文試験では、健康に関する幅広いテーマが出題されますが、今回取り上げるのは「生活の質(QOL:Quality of Life)」についてのお題です。「生活の質を高める」などという言葉は耳にしたことがあっても、いざ小論文として800字でまとめるとなると、具体的に何を書けばいいのか悩む受験生も多いでしょう。
この記事では、「生活の質とは何か?」という基本的なところから、現在のQOLは本当に向上しているのか、保健師としてどのように関わっていくべきかまで、論じる際のヒントをまとめています。実際の試験で問われている本質をつかみ、説得力のある答案につなげましょう。
●生活の質とは |
「生活の質(QOL)」とは、単に「病気がない」とか「経済的に豊か」といったことにとどまらず、「その人らしく、心身ともに満たされた生活を送っているかどうか」という、より主観的な幸福感を含んだ概念です。
世界保健機関(WHO)はQOLを「個人の目標、期待、基準、および関心に関連して、文化および価値体系の中での生活の認識」と定義しており、身体的・精神的健康、社会的関係、経済状況、住環境など、多角的な要素から成り立っています。
●生活の質は向上しているか |
医療の進歩や情報技術の発展によって、人々の平均寿命は伸び、健康に関する情報にもアクセスしやすくなりました。そういった意味では、確かに「生活の質は向上している」と言える側面があります。
一方で、社会的孤立やメンタルヘルスの悪化、貧困や格差など、QOLを損なう要因も複雑化・多様化しています。とくに高齢者や子育て中の家庭、障がいを持つ人々、地域的な医療資源の偏りなど、課題は山積みです。 つまり、生活の質は全体的には向上しているが、誰もが等しく恩恵を受けているとは限らないというのが実情です。
●試験官は何を見ているのか |
このテーマでは、以下のような視点で受験者の力を見極めようとしています。
・QOLという言葉の意味を理解しているか
・現代社会の中で、QOLに影響を与えている問題を具体的に挙げられるか
・保健師としてQOL向上にどう貢献するかを具体的に論じられるか
・主観と客観、個人と社会のバランスを考慮した視点を持っているか
つまり、単なる用語解説ではなく、自分の中で咀嚼した「QOL観」を持っているかどうかが問われているのです。
●どう書くか |
構成としては、以下のような流れが効果的です。
1. 導入(問題提起)
「現代社会では、生活の豊かさが問われる一方で、生活の質に差が生じている。」など。
2. QOLの定義と構成要素の説明
身体的健康だけでなく、精神的・社会的な充実が含まれることに言及。
3. 現代におけるQOLの課題
例えば「高齢者の独居」「若年層の孤立」「働く女性の負担」など具体例を用いて。
4. 保健師としての役割
地域とのつながりを支える、保健指導や相談対応、支援機関との連携など。
「一人ひとりに寄り添う支援が、生活の質の向上につながる」ことを強調。
5. 結論(まとめ)
「QOLの向上は一人では難しい。だからこそ保健師の存在が重要である」という視点で締める。
●まとめ |
「生活の質」というテーマは、どこか抽象的な印象がありますが、保健師を目指す人にとっては、実は非常に現実的で身近な課題です。QOLとは「その人らしい生き方を支えること」であり、保健師はまさにその支援を担う専門職です。
試験では、用語の知識にとどまらず、「誰の、どんな生活を、どう支えたいのか」という自分の想いや具体的な視点を交えて書くことが求められます。ぜひ、過去の経験や身近な事例も交えて、自分なりの答えを見つけてみてください。
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