2025.05.26
⁻『心豊かとは(400字・30分)』
「心豊か」とは、言葉にするとどこかふんわりとした響きを持ちますが、看護や医療に携わる者にとって、とても大切な価値観でもあります。実際の入試では、「心が豊かとはどういうことか?」という抽象的な問いに対して、自分なりの解釈と具体的な体験・考察を組み合わせて書く必要があります。
今回は「心豊かとは」というお題で求められている力や、書くためのヒントを一緒に見ていきましょう。
●心が豊かとは |
「心が豊か」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。美しい音楽や絵画など芸術に触れること? 人にやさしく接する姿勢? それとも人の過ちを許せる広い心?
「心の豊かさ」とは、経済的な豊かさとは異なり、感受性や思いやり、他者を受け入れる余裕など、内面的な成熟や温かさを指します。 たとえば、相手の気持ちを想像して行動できること、自然や季節の変化に気づいて感動できること、小さなことに感謝の気持ちを持てることなども「心の豊かさ」です。
また、必ずしも裕福であることが条件ではなく、むしろ「多くを持たないからこそ、分け与えることができる」「苦しい経験をしたからこそ、人の痛みに寄り添える」というケースもあります。
●出題者の意図 |
このテーマを出す試験官の意図は、「この受験生はどんな価値観を持っているか」「医療者としての素養があるか」を見極めることにあります。
心の豊かさは、看護師として患者さんやご家族と接するときの根底になる部分。知識や技術がいくらあっても、冷たい対応や無関心な態度では信頼関係は築けません。 だからこそ、相手の立場に立って考えられるか、思いやりをもって接することができるか、困難な場面でも前向きに支えようとする気持ちがあるかといった、人間性の部分が問われているのです。
●どんな切り口で書く? |
400字という限られた文字数では、何でも書こうとするよりも、「自分が考える心の豊かさ」を1つに絞って深める方が伝わります。たとえば──
・「心の豊かさとは、自分よりも他人を思いやる気持ちだと思います」という意見で始めて、身近なエピソード(バスの中でお年寄りに席を譲ったときの気持ち、友人の相談にのった経験など)を入れてもよいでしょう。
・「医療職における心の豊かさとは、患者さんの不安をくみ取り、そっと声をかけられるような存在であることだと思います」と、看護の仕事とのつながりを書いても◎。
●医療職に求められる「心の豊かさ」 |
看護師として働く中で、「知識・技術・態度」の3つの柱が重要だと言われます。この中でも「態度」には、患者さんの立場になって考える姿勢や、チームメンバーと協力する姿勢、つまり「心の豊かさ」が大きく関係しています。
目の前の患者さんに寄り添い、時には「話を聞く」だけで安心してもらえるような関わりを持てるかどうか。 また、ご家族や同僚に対しても誠実で思いやりのある対応ができるかどうか──。 それらは全て、心が豊かであることの表れです。
●まとめ |
「心の豊かさ」という抽象的なテーマに対して、自分なりの言葉で表現できるかどうか。そこに、あなたの人間性や看護職への適性があらわれます。
具体的な体験を交えながら、他者を思いやる気持ち、日々の中で感じる小さな幸せや感動などを素直に表現しましょう。
▼ポイントまとめ
・「心の豊かさ」とは、思いやり・感受性・内面の温かさ。
・出題者は、人間性や看護職としての適性を見ている。
・書くときは、テーマを一つに絞り、体験談と結びつけて。
・看護師としての「心の豊かさ」の大切さにも触れておくと◎。
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