2025.05.22
⁻『保健所と地域の保健センターのどちらに就職を考えていますか?』
保健師学校の面接では、「保健所と地域の保健センター、どちらに就職を考えていますか?」という質問がされることがあります。多くの受験生にとって、保健師として働くことはイメージできていても、具体的な就職先の違いについてはあいまいなままの場合もあるかもしれません。 しかし、この質問には「保健師の仕事への理解度」や「就職への意識の高さ」を確認する意図があります。
この記事では、この質問に自信をもって答えられるよう、「保健所」と「保健センター」の違いを中心に、就職活動や面接対策のポイントを整理していきます。
●保健所と保健センターの違い |
保健所と保健センターはどちらも地域の人々の健康を支える拠点ですが、その役割や対象とする範囲、扱う業務には違いがあります。ここではそれぞれの特徴を整理してみましょう。
▽保健所とは
保健所は、地域における広域的な公衆衛生の管理や指導を担う機関です。厚生労働省の定義では、保健所の業務は「保健、衛生に関する広域的かつ専門的な業務」で、具体的には以下のような内容があります。
・感染症の発生動向調査
・感染症患者の調査
・結核、エイズ、性病などの対策
・精神保健・難病支援
・食品衛生や飲食店の監視指導
・医療機関や薬局の開設許可
・母子保健や生活習慣病予防(専門的なケース)
・被災地での健康支援活動
つまり、より専門的・技術的な対応や、広範囲にわたる住民全体への対策を講じるのが保健所の特徴です。
▽地域の保健センターとは
一方、保健センターは市区町村が設置している施設で、主に住民の身近な健康相談や予防活動の拠点です。
業務としては
・乳幼児健診や育児相談
・高齢者の健康相談や介護予防教室
・健康診断やがん検診の受付
・生活習慣病予防の教室や相談
・栄養指導や禁煙教室
・地域住民との継続的な健康づくり活動
とくに乳幼児健診や育児支援、地域住民との対話型の活動が多いのが特徴です。保健師として住民の「顔が見える」関係の中で活動したい方には保健センターが合っています。
●保健師の就職活動は早い |
保健師学校は一年制であることが多く、入学してすぐに就職活動を始める必要があります。自治体によっては5月頃に採用試験が行われることもあるため、早期に就職先の希望を固めておく必要があります。
特に地方公務員として働く保健師を目指す場合、「地方公務員採用試験(上級・中級・初級)」を受ける必要があり、試験の出願締切も早めです。さらに、自治体によっては「保健所配属枠」「保健センター配属枠」が明確に分かれている場合もあり、希望先を具体的にしておくことが重要です。
なお、厚生労働省のデータによると、全国の保健師数は約6万人、そのうち市町村に勤務する保健師が半数以上を占めています。つまり、保健センターに勤務する保健師のほうが多く、住民に近い存在としての活動が期待されています。
●質問の意図 |
この質問の背景には、「将来の保健師像が描けているか」「どんな保健活動に関わりたいのか」を試験官が確認したいという意図があります。保健所と保健センターでは役割も働き方も大きく異なりますので、漠然と「保健師になりたい」というだけではこの質問に答えられません。
加えて、「就職を見据えて進学しているか」「学んだことをどのように活かしたいのか」という目的意識の有無も見られています。
自分が将来どんな地域課題に取り組みたいかを考え、それにふさわしい勤務先を選びたいですね。
●どう答えるか |
面接で聞かれた際は、以下のような答え方が考えられます。
「保健所で感染症対策などの公衆衛生活動に携わりたいと考えています。保健所の保健師として専門性を高めながら広域的な支援に関わりたいと思っています。」
「保健センターの保健師として、地域の高齢者や子育て中の家庭に寄り添った活動がしたいです。地域住民の方々と信頼関係を築きながら、健康づくりのサポートをしていきたいと考えています。」
どちらを選んでも正解・不正解はありません。大切なのは、自分なりの理由と将来像をしっかり語ることです。
●まとめ |
「保健所と保健センター、どちらに就職を考えていますか?」という質問は、保健師としての将来をどれだけ具体的に描いているか、目的意識を持って学ぼうとしているかを見極める大切な質問です。 保健所と保健センターの違いを理解し、それぞれの役割や特色に合った働き方を想像してみましょう。
保健師学校への進学は、ゴールではなくスタートです。面接では、就職後を見据えたビジョンをしっかり持っていることが、あなたの強みになりますよ。
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