2025.05.14
⁻『コンビニエンスストアの24時間営業は必要か、必要でないか』
看護学校や看護大学のグループ討論では、医療に限らず、日常生活に関わる社会的なテーマが出題されることも少なくありません。その一つが「コンビニエンスストアの24時間営業は必要か、必要でないか」です。一見医療とは関係がないように思えますが、実はこのテーマを通じて、受験生の柔軟な発想力やコミュニケーション力、他者との協調性、社会的な視野などが問われています。
●コンビニエンスストアの現状 |
2024年時点で、日本全国のコンビニエンスストアの店舗数は約56,000店舗にのぼり、人口あたりの店舗密度は世界でもトップクラスです。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの大手3社が主力で、地方都市や過疎地域にも幅広く出店しています。 そのうち、24時間営業を続けている店舗は全体の約8割を占めており、深夜帯も含めて私たちの生活を支えるインフラとなっています。
一方で、過剰な競争や人手不足などにより、営業時間の短縮や深夜休業を導入する店舗も増えてきました。
●フランチャイズの問題や競争の過熱も |
大手コンビニの多くはフランチャイズ方式をとっており、本部から「24時間営業」を求められることも少なくありません。しかし現実には、人手が足りずに店主自らが過労状態で深夜勤務を続けている店舗もあるのです。 また、地域によっては数百メートル圏内に複数のコンビニが出店しており、過当競争になっているケースも。
こうした社会的背景も、議論の中で触れることができると、深みが出ます。
●24時間営業のメリット・デメリット |
<メリット>
・消費者にとって便利:夜勤の医療従事者や早朝出勤の人々など、あらゆる生活リズムの人のニーズに対応できる。
・災害時のインフラ的役割:電気・通信が使える限り、24時間開いていることで避難所の役割を担うことも。
・防犯効果:深夜でも明るく、人の出入りがあることが、街の安全に寄与している。
<デメリット>
・人手不足と過重労働:特に深夜帯は人材確保が難しく、店主や従業員にしわ寄せがくることも。
・経営負担:深夜営業での売上が少ない場合、光熱費や人件費だけがかさみ、赤字になることもある。
・環境負荷:照明や冷暖房を常に稼働させるため、エネルギー消費が多く環境負荷が大きい。
●海外ではどうなの? |
アメリカでは都市部の一部の店舗を除き、24時間営業は一般的ではありません。ヨーロッパ諸国でも、法律や労働環境の観点から日曜営業や夜間営業を禁止している国もあります。
つまり、24時間営業は日本特有の文化とも言えるのです。
●試験官は何を見ているか |
このテーマで試験官が見ているのは、「正解」ではありません。
重要なのは、以下のようなポイントです。
・自分の意見をしっかり持ちつつ、他人の意見にも耳を傾ける姿勢
・社会的背景をふまえた発言ができるか
・相手の意見を否定せずに、自分の考えを伝える力
・看護師として必要な“柔軟なバランス感覚”や“共感性”があるか
このテーマでたとえば「夜間も開いていて助かっている」と話す受験生もいれば、「深夜のバイトで体を壊した知人がいる」と話す人もいるかもしれません。正反対の意見でも、互いを尊重し合えるグループは、評価されやすいのです。
●まとめ |
「24時間営業は必要か、必要でないか」という問いに、明確な正解はありません。重要なのは、この問いを通して、自分が何を考え、どう他者と向き合い、意見を交わせるかです。
グループ討論は、医療現場でのチームワークや多職種連携を見すえた訓練の場でもあります。「患者さんにとって何が大切か」「働く人にとってどうあるべきか」という視点も交えて、バランスの取れた意見交換ができるよう、練習しておきましょう。
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